知人が癌で亡くなった日

今朝の9時半ごろに知人から電話がかかってきた。彼も忙しい人なので大抵のやりとりはメッセージで行っているため「珍しいな~」と思いながら電話に出た。明るく出たのだが、伝えられた内容はそれと反していた。その電話を掛けてきてくれた人との共通の知り合いが昨日亡くなったとの事だった。

 

死因は癌によるものだ。亡くなった彼は肝臓癌だった。

本人から教えられていたのだが、ここ5年ほど入退院を繰り返していたらしい。

私はたまたま縁で彼とは仕事を通して知り合ったのだが、【気さくで優しくいい男】という、本当に何て言うか温かく素敵な人だった。出会った時からずっとそうだった。

 

私とはお互いの存在を知っている者同士という仲で、会えば挨拶して色々話すが友人と言える程の仲とは違った。それでもたまにレストランに顔を出してくれたり、Japan Festivalの会場で会えば話しかけてきてくれたりと、向こうが少し年上だったからかもしれないが、色々と気に掛けてくださる人だった。私はそれが嬉しかったし彼に会うのは好きだった。

 

そんな彼だが、2~3カ月前のSNSに病気と闘っている旨の投稿をしていた。

以前より痩せたかな?くらいにしか知らなかった私は、一体何があったのかと彼に尋ねた。

そこで初めて知ったのが彼が肝臓癌だったということだ。

その闘病のちょっと前には日本に旅行に行ったりバイクのショーに行ったりしている投稿をしていたのでまさか癌だったとは・・・と衝撃を受けたのを覚えている。

そしてその後はほとんど投稿がされなくなり、そして訃報が届いた。

 

ショックだった。

勝手ながらお互いに癌と戦っている同士の様に感じていたし、彼が亡くなるなんて想像もしていなかった。一人息子もまだ小さいのに。あの小さな男の子は今どうしている?お父さんともう会えないんだぞ?あまりに早くないか?あまりに酷じゃないか?親子そろってあんなに明るい笑顔だったのに。それでも逝くときはこんなにあっさり逝ってしまうものなのか・・・と、色々思いながら震えがきた。訃報を聞きながら震えたのだ。

何が怖かったって?

自分に重ねてしまったからだ。

これがもしも自分だったら・・・そう思ってしまったからだ。

家族を残して死ぬというのがこんなに怖いことなのか。それを心の底から知ったから震えが起きたのだ。

 

私は常に冷静な方だ。情熱的なタイプではあるが冷静さも同時に持っている。

だからこんな時でも冷静に考えてみた。どうすればこれを回避できるか、を。

だがそう簡単に答えの出る事じゃあない。とはいえ理屈じゃない。治すしかないんだ。

我が家にも子供たちがいる。妻がいる。友人や従業員だっている。彼らを泣かせたくはない。泣かせたくないんだ。だから治す以外に道は無いんだ。

 

仕事でも私生活でも、奇跡ってのは行動する者のところに起きるものだというのは身を以て理解している。今まで何度も奇跡的なことに遭遇しているからだ。

この癌との戦いも既に2年近くになるか。

諦めるなんてことは絶対に無いしそんな腐った根性ではない。そもそも治すつもりでしかいないから諦めるとかいう言葉すら浮かんで来ない。

 

だがなかなかに手強い相手だ。それは認める。既に片脚を失って片目も見えないくらいだもんな。

でもね、不思議な事に今までの人生で「楽勝」なんてのは一度も無かった。

楽勝そうに見えた人もいるかもしれないけど違うよ。

自分では分かっているけど、本当にどん臭い方だから。

どん臭い奴はとにかくカッコ悪くても継続するしか道は無い。

良かれと思う事は何でもやる。そういう姿勢を崩さない。

それしかない。

 

願えば叶うなんて甘い事だけじゃない。亡くなった彼本人もご家族もご友人達も彼の為にいっぱい願っただろう。でも駄目だった。だから大変なのは知ってるし、むしろ誰よりもその重みを理解してるさ。

それでも戦いというのは引いたら駄目なんだ。前に出る意識がないと駄目なんだよ。

だからこんな状態でも趣味的な感じで新しい事にもチャレンジしてる。

 

つい最近は「ジグソーパズル」を販売するEtsyサイトも作った。(パズル好きなもので)

オンラインなら色んな仕事も出来そうだけど、いつ入院するかも分からない生活をしながらクライアントを持つような仕事は無責任だし、だから物を販売して自動で処理される形を選んだ。逆に言うと今はこういう事しか出来ないしするべきじゃない。

この件については次回また書くことにしよう。

 

さて、N田さん。まさかあなたが亡くなるとは本当に夢にも思っていませんでした。

奥さんもお子さんもきっと泣いていますよ。優しいあなたの事だから、きっと誰よりも何よりもそれが悔しかったでしょうね。

僕はしつこいのでまだまだ先になると思いますが、あの世に行ったら一緒に酒でも飲みましょう。おつまみは僕が用意しますよ。料理人歴は僕の方が長いですから。

まぁでも、焼き鳥みたいなシンプルなのが良いですかね。新鮮な刺身もいいな。
お酒はN田さんの方が詳しい気がするからお好きなのを選んでください。期待しています。

 

さて、お疲れ様でした。この一言に尽きます。もう戦う必要はありません。ゆっくりなさってください。
痛い思いも抗癌剤もする必要は無いんです。嫌だったでしょ?凄い分かりますよ。僕も嫌いです。

またあちらでお会いしましょう。楽しみにしていますってのも変だけど、オーランドの人はあまり知らないので先輩がいると思うと少し心強い気がします。
本当に本当にお疲れさまでした。

そして、いつも笑顔で接してくださりありがとうございました。

Junichi Takazoe